火曜日

ドキュメンタリー映画の巨匠、フレデリック・ワイズマン監督の トークイベントを開催しました。


東京、神戸、高知、金沢、京都と開催のフレデリック・ワイズマン レトロスペクティヴ。神戸では1029日よりワイズマン監督の作品を上映しておりましたが、ついに11月4日(金)ワイズマン監督ご本人が、神戸にいらっしゃいました!たくさんの方にご来場いただき、監督によるトーク、「ボクシング・ジム」の上映、そしてお客様と質疑応答の時間を合わせて約3時間、大変濃密な時間となりました。

監督によるトークのテーマはずばり“私の映画”。観察に徹している姿勢、思想、価値観など監督の人間性から、具体的に普段どのようにして映画を制作されているのか、手順を追って撮影、編集に至るまでの説明、さらに、ドキュメンタリーを撮るにあたって必要だと感じていること、何事にも関心や疑問を持ち、普段より人間観察をする姿勢であるべきだと語られました。また、リズムを非常に大切にしているとのこと、足でリズムを刻みながら編集をし、膨大な撮影時間となった全素材を何度も見直しているなど、ワイズマン監督作品の制作秘話を聞くことが出来るすばらしい内容でした。

「ボクシング・ジム」上映後の質疑応答では、たくさんの手が上がり、先ほどのトークの内容から、「ボクシング・ジム」の劇中のこと、ボクシングというスポーツに対してどのようにとらえていらっしゃるのかなど様々で、それに一つ一つ丁寧に答えてくださった監督。大学での銃撃事件についてのニュースが、ボクシング・ジムで流れているシーンに関しては、監督にとって非常に重要なシーンであり、ニュース内容とボクシングというスポーツが形式に沿った暴力であることとの対比を表現した、など質問にあがらなければ聞けなかったかもしれないお話も聞くことが出来ました。

最新作「クレイジー・ホース」の説明もしていただき、それを聞いたみなさんは早くも最新作の劇場公開(日本では来年夏を予定)が待ち遠しいご様子でした。そのときにでも、また来日していただけることを期待、熱望したいと思います。

内容のみならず、音の響きを含めて“ことば”に対して非常に重要視し、全体のリズムを大切に、1カットであっても無駄はない、全て必要と感じているからこその編集、と語られた監督。全てに意味はあるけれど、それをどう観客が感じるかは自由だ、とおっしゃっていました。

ワイズマン監督の作品を見たとき、作品の中に登場する様々な人のように、見る側も様々な感じ方が生まれると思います。当館での上映は6日まで上映しております。