住人どうしが顔見知りの、犯罪とは無縁そうな小さな村で、若い女性の死体が見つかる。女性の名前はアンナ。湖のほとりに横たわる姿があまりに静かで美しいので、刑事サンツィオは知り合いによる犯行と推測、住人たちに聞き込みを始める。
イタリアといえばきらめく太陽! うまい飯! ニキータ! みたいな陽性なイメージがありますが、「湖のほとりで」の舞台はしっとり湿った冬の北イタリア。グレーの空、沈んだような森の緑色。北はアルプス山脈に、南は地中海に面したイタリアの、カラフルな風土がしのばれるってもんです。日本もそうですが、縦長の国は北と南でずいぶん印象が違いますね。
犯人探しの推理劇ですが、住民やサンツィオ自身の事情が絡んで、物語は濃い人間ドラマの様相を呈します。底に流れるのは、家族の誰かが障害者や病人だったときの、介護する側の心の揺らぎ。誰もが今すぐでなくても直面するかもしれない状況が、静かな中にも緊迫感をもって胸にせまってきます。
一番の見どころは、湖のほとりに横たわる少女の美しすぎる裸体という声もなきにしもあらずですが(笑)
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