火曜日

「小三治」アンコール!

昨年夏にKAVCで上映され、好評を博した「小三治」。鬼気迫る高座での顔と、多趣味なプライベートとのギャップが新鮮な驚きでした。
その小三治師匠の、4月10日神戸新聞松方ホール独演会記念として、映画「小三治」をアンコール上映。独演会のチケットはすでに完売とのことですが、映画「小三治」で高座の様子をたっぷり堪能しませんか。
上映期間は4月17日〜23日(火曜休)。

月曜日

「イエローキッド」監督舞台挨拶

黒澤清監督も大絶賛の大型新人、真利子哲也監督の「イエローキッド」上映決定です。

ボクサー志望の青年田村と出会ったマンガ家・服部は、田村をモデルに「イエローキッド」というマンガを描き始めるが、田村の行動がストーリーをなぞりだす。服部は田村がマンガの筋通りに殺人を犯すのではないかとおそれはじめる。

予算200万、撮影期間2週間で撮られたまさにアイディア勝負の作品。先の読めないスリリングな展開に魅了されること間違いなし!

そんな気鋭の真利子監督が、3/14の20:10回の舞台挨拶に来られます。初日3/13ではないのでご注意。みなさまのおこしをお待ちしています〜

日曜日

海角七号〜君想う、国境の南〜

南の国へ行く途中、トランジットで台湾に寄ったことがあります。乗り継ぐ飛行機までの待ち時間がハンパなくて、空港で時間を潰すのは無理! と、台北の街へ繰り出しました。夜市をぶらぶらして、巨大な屋台コートで食べ歩き、中心街の店をのぞく。都会はどこの国も同じに見えるので、異国情緒はあんまり感じられないな、と少し残念に思いながら。

市バスの乗り方が分からなくてうろうろしていたとき、案内係のおじいさんが「どこに行きたいですか」と日本語で話しかけてきました。つられて日本語で説明すると、おじいさんはやはり日本語ですらすらと説明してくれました。戦前生まれの台湾人は、植民地時代のなごりで、かなり流暢に日本語が話せるんだそう。台湾人のおじいさんと日本語で話していると、わたしはどこにいるんだろう、と不思議な気持ちになって、それが台北で感じた唯一の異国情緒かもしれません。逆説的だけど。


さて、「海角七号」。台北でミュージシャンになる夢を諦めた阿嘉が、台湾南部の故郷・恒春に戻るところから物語は始まる。郵便配達の仕事を始めた阿嘉は、今はない住所「海角七号」宛ての荷物を発見。それは戦後直後に台湾から引き上げた日本人青年の、台湾人女性への七通のラブレターだった。

そんなおり、ビーチで歌手の中孝介(本人!)のライブイベントが開催されることに。前座バンドを町民で結成するという町長の提案で集まったのは、少女から老人まで個性豊かなメンバー。ボーカル&ギターとして引っ張りだされた阿嘉は、日本側クルーの通訳をする友子という日本人女性と出会う。始めは反発しあっていた2人だが、バンドの練習を重ねるうちに惹かれあうようになる。


台湾最南端の恒春はエキゾチックな海辺のリゾート、それこそ異国情緒たっぷりのロケーション。人々の顔も漢民族とはちょっと違う。バンドにも台湾の先住民族という設定のメンバーが何人かいます。阿嘉を演じるファン・イーチェンにも、先住民の血が流れているのだそう。

台湾に住むさまざまな民族、日本人、結ばれなかった日本人と台湾人。いろんな人たちの思いをのせて紡がれるメロディーは、見る人の心を強く打って、台湾では自国映画最大のヒットとなりました。いよいよ4月に神戸公開です。


土曜日

副王家の一族

シチリアの名門貴族、ウゼタ家は、絶対的な家長であるジャコモに家族の運命すべてが決められている。幼い頃からジャコモに厳しく教育されてきた長男のコンサルヴォは、専制的な父と激しく対立。おりしも時代は革命の嵐が吹き荒れる共和制への移行期。旧きと新しきがぶつかりあう潮流は一族の運命を翻弄していく。


完璧な時代考証、凝りに凝った美術、台詞といい台詞まわしといい、すべてが大げさ! それがちゃんと様式美にまで達しているところは、「ランジェ公爵夫人」を思わせますが、場所がイタリアだけにもっとこってりしております。(え、あれ以上? と思った方は、こわいもの見たさに是非どうぞ 笑)


「副王」とは、王によって地方での国王代理を任命された行政官のこと。ウゼダ家がシチリアの副王の末裔という設定は、ヴィスコンティの「山猫」を思い出させます。それもそのはず、この映画の原作「副王たち」に影響を受けて、小説「山猫」は書かれたのです。父子の確執、政略結婚、権力闘争ときたら、某華麗なる一族にも思いは至り、世界の名作は連綿と繋がっているな〜、と感慨深いです。

月曜日

アンヴィル!



80年代に過激なステージングでカルトな人気を博したヘビメタバンド、ANVIL(アンヴィル)。50代になった今もメジャーで成功する夢を諦めきれないVo.リップスとDr.ロブは、数は少ないけれど熱狂的なファンを大事にし、ライブハウスでこつこつライブを続けている。バンドを本業にしたいけれど、現実はそうもいかず、工事現場やケータリング工場で働

く日々。


そんな彼らにヨーロッパツアーの話が舞い込むが、何のことはない、ライブハウスで日銭を稼ぐドサ回りだった。どん底を味わい落ち込むふたり。しかし再起をかけて、栄光華やかなりし頃の敏腕プロデューサーに売り込みをかけ、新作のレコーディングに挑む!


これ、フィクションじゃなくてドキュメンタリーです。腹が出て、ヘビメタ野郎のトレードマーク、カーリーヘアも薄くなりがちないいおっさん(ところで何でヘビメタ勢は全員あの髪型なんでしょう。知ってる方いたら教えてください)たちが、挫折やチャンスに怒って泣いての姿を見ると、こっけいを通りこして胸が熱くなります。激情家のリップス、知性派のロブ、キャラたちまくりの2人の喧嘩のシーンは、爆笑のちなぜかリップスにもらい泣き。いやあ、見てるこっちも忙しい。


作中では「日本」が重要なキーワードに。どんな場面でかは、その目でお確かめください〜

土曜日

ライブテープ

「童貞。をプロデュース」「あんにょん由美香」がヒット、今もっとも注目されている松江哲朗監督の最新作「ライブテープ」。元旦の吉祥寺、初詣シーンから始まるカット。おもむろに歌いだすサングラスにもじゃもじゃヘア、ギターを抱えた怪しげな青年が、ちょっとここでは書けないような(笑)イントロの歌を歌いだし、歩きだす。吉祥寺の商店街を流し、住宅街を流し、その間カットも歌も一度も途切れることがなく、なんと74分ワンカット。終点は井の頭公園、そこではちょっとしたカタルシスが・・・。


 ギターの青年は「DAVID BOWIEたち」のボーカル/ギター・前野さん。のびのある声でソウルフルに歌い上げる耳に残る歌詞がたまりません。音もめちゃめちゃいいです。臨場感があるのに、雑踏にまぎれていない。まるでライブハウスに居合わせているよう。こんなドキュメンタリー見たことない! 是非に劇場に足を運んで、前野さんと一緒に吉祥寺の町を歩いてみてください。


 なお2/6の19:00の回終了後、松江監督と前野さんによる舞台挨拶+ミニライブがありますよ。