市バスの乗り方が分からなくてうろうろしていたとき、案内係のおじいさんが「どこに行きたいですか」と日本語で話しかけてきました。つられて日本語で説明すると、おじいさんはやはり日本語ですらすらと説明してくれました。戦前生まれの台湾人は、植民地時代のなごりで、かなり流暢に日本語が話せるんだそう。台湾人のおじいさんと日本語で話していると、わたしはどこにいるんだろう、と不思議な気持ちになって、それが台北で感じた唯一の異国情緒かもしれません。逆説的だけど。
さて、「海角七号」。台北でミュージシャンになる夢を諦めた阿嘉が、台湾南部の故郷・恒春に戻るところから物語は始まる。郵便配達の仕事を始めた阿嘉は、今はない住所「海角七号」宛ての荷物を発見。それは戦後直後に台湾から引き上げた日本人青年の、台湾人女性への七通のラブレターだった。
そんなおり、ビーチで歌手の中孝介(本人!)のライブイベントが開催されることに。前座バンドを町民で結成するという町長の提案で集まったのは、少女から老人まで個性豊かなメンバー。ボーカル&ギターとして引っ張りだされた阿嘉は、日本側クルーの通訳をする友子という日本人女性と出会う。始めは反発しあっていた2人だが、バンドの練習を重ねるうちに惹かれあうようになる。
台湾最南端の恒春はエキゾチックな海辺のリゾート、それこそ異国情緒たっぷりのロケーション。人々の顔も漢民族とはちょっと違う。バンドにも台湾の先住民族という設定のメンバーが何人かいます。阿嘉を演じるファン・イーチェンにも、先住民の血が流れているのだそう。
台湾に住むさまざまな民族、日本人、結ばれなかった日本人と台湾人。いろんな人たちの思いをのせて紡がれるメロディーは、見る人の心を強く打って、台湾では自国映画最大のヒットとなりました。いよいよ4月に神戸公開です。
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